現在あるいは以前かかられた病気や、現在服用されているお薬をお聞きします。
舌や歯の状態を観察します。またお鼻の中もを診せて頂くことがあります。
味覚の検査は色々あります。時間がかかるものも多いため、日常診療の中で行うことがなかなかできにくい物が多いのが難点です。
簡単にできるものとしては、甘味、苦味、塩辛さ、酸っぱさについて、綿棒に食塩水や、薬液を染み込ませ、舌のいくつかの場所に塗って味を感じるかを調べる方法があります。
また塩味のする検査用の紙製スプーンを使った、味覚障害を調べる簡易的な検査もあります。
味覚障害の原因の神経や、障害の程度をより正確に調べるために、味の濃度を変えた紙のディスクを使った検査もあります。
より専門的検査では、電気味覚計という器械を使った検査を行います。しかし、これはできる施設が限られます。
また血液検査で貧血の有無、鉄や亜鉛の不足、ビタミンの不足などを調べます。
培養検査にて、口の中の真菌(かび)の有無を調べます。
唾液の量が低下していると味覚が落ちますので、お口の観察をした上で、唾液量の検査を行うこともあります。
耳や脳の異常(中耳炎や脳梗塞、腫瘍など)を疑う場合、CTやMRIをお勧めします。
お口の中の清潔を保つのは大切です。ただし舌苔(白い膜)の扱いについては注意が必要です。
普通の歯ブラシでゴシゴシこすったりすると、舌の粘膜を傷つけてしまいます。ヘラやスプーン等をつかってそっと取るのが大切です。
柔らかい専用の舌ブラシを使ったほうがいいでしょう。ブラシタイプでなく、ゴムタイプのものも良いと思います。
口内の衛生のため、虫歯の治療も大切です。
処方としては、ビタミン剤(ビタミンB12を含むもの)がよく処方されます。
亜鉛や鉄が不足している場合は、それらを補充を行います。
亜鉛については亜鉛そのものは非常に飲みにくいので、少量の亜鉛を含んだ胃薬(プロマックなど)を処方することもあります。
短期間で亜鉛が補充されることはあまりありません。数ヶ月かかることがほとんどです。また、血液検査で亜鉛が正常でも、味覚が回復しない例もあり、やや正常より高めを目標に処方を続けます。
牡蠣やカシューナッツ、レバーなど亜鉛が多い食べ物をおすすめしています。
鉄欠乏性貧血では、鉄剤を処方します。
通常、神経の病気でよく使うステロイドを使う治療はあまり行いません。
唾液量が低下している場合は、唾液腺刺激ホルモンの薬を処方します。この薬は嘔気などの副作用が出ることがあります。その場合は少量から開始したり、水に溶かしてぶくぶくうがいをしていただくこともあります。
特発性のものもあり、100%治療するのは、難しいこともあります。じっくり治療に取り組んでいく必要があります。