ネーザルCPAPは、睡眠時無呼吸の標準的治療法です。まず最初に勧められる治療法です。夜間寝ている間、お鼻にマスクを装着していただく、小さい人工呼吸器です。
CPAPとは「持続的陽圧呼吸」を意味します。
簡単に言うと、常に一定の少量の空気を送り込み、空気の通り道を広げ、更に無呼吸になりそうな状態を感知すると、圧を高めた空気を押し込んでくれる機械です。機械が出す音の問題と、持ち運びが困難なことが欠点です。最近は本体こそ小さくなりましたが、マスクや空気を送るチューブは小さくできません。
器械は購入するのではなく、多くはレンタルで借りる形となります。 一定の重症度で健康保険の適応になり、患者さんの月々のレンタル料の負担が軽減されます。そのためには、検査による睡眠時無呼吸の重症度の診断と、月1回の医療機関への受診をされることが条件になります。
そのため、通院が困難な方の場合、レンタル料が高くなったり、あるいは機器そのものを購入しなくてはならなくなります。
お鼻の空気の通りが悪い方は、ネーザルCPAPの効果がうまく現れないことがあります。こういう方の場合、鼻中隔弯曲症などの、鼻の手術をあらかじめ勧められる事もあります。
ネーザルCPAPの器械の一例です。電源(上)、本体(左)、お鼻につけるマスクから成り立っています。
この機種は、メモリーカードに夜間の作動状態を記録することができ、コンピューターで解析することができます。
お鼻にマスクを当て、バンドで固定します。
昔の機種に比べて送り込まれる空気の圧力も、かなり自然な感じになっています。
鼻詰まりがある場合、口呼吸をしてしまうので、CPAPの効果が上がりません。この場合、お鼻の治療を併用する必要があります。
下顎を前に移動させ、いわゆる「受け口」の状態にする、夜間装着するマウスピースを使った治療です。
下顎を前方に強制的にずらすことで、喉の前後が広がり、呼吸がしやすくなるという理屈です。
検査で診断が付いている場合は、そのデータを歯科にお持ちになれば、保険適応で作成してもらうことができます。そうでない場合は自費になります。(費用は病院によって異なります)
長所は
1. 持ち運びが簡単でどこででもできること
2. ネーザルCPAPと一緒に使うこともできる
3. 舌根沈下型などにも効果が期待できる
短所は
1. マウスピースをつけること自体、使用する際になれるまで違和感を感じる
2 .耐久性の問題もあり、作り変えが必要なこと
が挙げられます。