睡眠時無呼吸症候群の手術治療で、扁桃肥大による「左右型」タイプのケースに扁桃摘出は有効です。子供さんではこのタイプが多いため、アデノイド切除とセットでよく行われます。
扁桃の肥大とアデノイド(お鼻の奥の扁桃)が大きいと、空気の通り道が狭くなっています。この2つを切除摘出する手術は、鼻と喉の奥の空気の通り道を広くし、呼吸を楽にします。
ただし、小さいお子さんに手術をするか、悩まれる方もあるかもしれません。検査にて、無呼吸の程度が中等症以上であれば、手術をおすすめしたいところです。
大人の方にも「左右型」のタイプの方には効果がありますが、大人の方の場合、全周性や舌根沈下型、鼻中隔弯曲症などのタイプも多いため、効果が限定的なこともあります。
アプノモニターをしていただくと1時間あたりの無呼吸+低呼吸の平均回数(AHI)が39.2回という高度の無呼吸症候群でした。
動脈の酸素の濃度(飽和度)も、息が止まっているときは最高72%まで低下していました。(通常、95-100%です)
心電図も、夜間に変動が激しく、酸素が下がった時を中心に、65回/分位の心拍数が、時には120回/分程度まで上昇しており、苦しい状態であることがわかります。
この方に扁桃摘出術とアデノイド切除を行った結果です。
レントゲン写真でみても、アデノイドも切除され、空気の通り道が広くなっています。
術後のアプノモニターの結果です。
先ほどの無呼吸+低呼吸の回数(AHI)は1回と手術前のAHI39.2から劇的に改善しました。
酸素の低下も最低で95%で、ほとんど睡眠中の異常な酸素低下はなくなりました。
この状態であれば全く正常の状態です。
酸素飽和度と心拍数の関係を見てみても、酸素飽和度の低下が改善しているため、65回/分程度の安定した呼吸となっています。
もちろん、全てに有効なわけではありませんが、経験例では、手術前と手術後のAHIを比較すると、平均80%以上改善したというデータをもっています。
子供さんの閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に、扁桃摘出とアデノイド切除は、特に効果があるものと思います。