やはり中耳炎はできるだけ早くが治したいものの、なかなかそううまくは行かないのが現状です。できるだけ次のようなことを心がけるべきとされています。
1.抗生剤は短期で効果を判定すること
中耳炎治療ガイドラインでは、抗生剤の効果を3日ないし5日で判断する様、推奨されています。ですから「お薬がコロコロ変わる」という不安を耳にすることがありますが、もしこういう立場で処方されているのであれば、当然あり得ることと思います。もちろん軽症の場合は抗生剤を使わずに3日間経過観察することもありえます。
2.時には投与量を増やすことも
最初に使われる抗生剤はペニシリン系、もしくはペニシリンを含む合剤が推奨されていますので、もともと下痢し易いのが難点です、効果がない場合、大量投与が勧められており、なおさら下痢がしやすくなります。セフェム系というお薬も処方されますが、ペニシリンほどパンチの効いた効果は無いと(個人的には)思われます。ガイドラインにもありますがやはり高用量
での投与が必要なケースが有ります。
短期間ですので、それほど全身への副作用は出ないと考えられます。それより、短期的に菌を叩く方が重要だと思われます。
3.必要に応じ菌の検査を行うこと
耳だれの中の細菌を検査することは大変大事です。すべての患者さんに金の検査をすることは、保険上の問題もあり難しいのですが、場合によっては何回も検査することもあります。時にはお鼻の奥(上咽頭といいます)の菌を調べることも必要になることもあります。
お鼻とお耳はつながっていますから、お鼻の状態は大変重要です。耳だれからは菌がでなくても、お鼻の奥にいる菌が参考になることもあります。(ただ必ずしも耳と鼻の菌が一致するとは限らないともいわれてます......)
上咽頭に時々みられるモレクセラ菌は、抗生剤を分解する酵素を作り、これによって耳の中での抗生剤の効き目を低下させることがあります。
また菌検査によって中耳炎の主体となる肺炎球菌、インフルエンザ菌の抗生剤耐性菌への変化はをみることもできます。
4.時には点滴での治療が必要なことも
抗生剤耐性菌になると、飲み薬の抗生剤は効果が十分でなくなります。場合によっては短期間での点滴での抗生剤投与をしなくてはならないこともあります。小さいお子さんですので、一日何回も点滴をするのは難しいため、入院を勧められることもあります。
5.鼓膜切開は必要であれば積極的に行う
ガイドラインでも治りにくい中耳炎や、非常に重症の中耳炎では早期から、鼓膜切開を行うようにされています。鼓膜切開の危険性というのももちろん存在しますし、「あそこの病院はしょっちゅう鼓膜切開をするから行きたくない」という不安を言われる患者さんもおられます。
もちろん先生のやり方にもよるかと思いますし、むやみに切開をするのはどうかと思いますが、必要な鼓膜切開は躊躇せず行ったほうがやはり良いのです。
ただくり返し鼓膜切開をするような場合、やはり鼓膜チューブ留置術を行うのが良いかと思います。
6.反復性中耳炎はやはり鼓膜チューブ留置術
くり返し鼓膜切開をするような場合は、反復性中耳炎ではないかと考えるべきです。特に2歳未満の反復化、難治化リスクの高い年齢で、実際反復化しているのであれば、やはり鼓膜チューブ留置術を行うのが良いかと思います。