鼓膜穿孔に対して耳鼻咽喉科の外来では次のようなことを調べます。
1.鼓膜の穴の位置や大きさ
位置によっては鼓膜で受け取った音の刺激を伝える耳小骨の損傷を起こしていることがあります。また大きい穴の場合はふさがりにくいこともあります。また穴の周囲が乾燥しているかも大切な所見です。
2.聴力検査
小さい子は難しいこともありますが、できる方には聞こえの検査を行います。聞こえの低下がひどい場合は前述の耳小骨の損傷や、外リンパ瘻の可能性があります。
3.眼振(めまい)検査
めまいの症状がある方は、めまいの検査を行います。
4.CT検査
耳小骨の損傷が疑われる場合に行います。耳小骨は3つの小さい骨が連続して鼓膜から内耳まで連絡しています。この耳小骨の連続性が綿棒などの損傷で、少しずれたり(脱臼)、完全に外れてしまう(耳小骨連鎖不全)ことがあります。
15歳の子の耳かきによる鼓膜穿孔です。右側の聴力が下がっていますが、骨導(神経レベルの聴力 カッコの形のマーク)は保たれています。この子の鼓膜も問題なく自然にふさがり聴力も元通りになりました。
下は右耳小骨連鎖不全のCTです。
左の図は耳小骨の位置ですが、中耳腔の鼓膜に対し上の方に位置します。3つの骨がつながって、鼓膜の音を内耳に伝えています。ここに強く衝撃を受けるとこの骨の関節が外れてしまうのです。
右側(中央の写真)のツチ骨とキヌタ骨という耳小骨連鎖の最初の2個の骨の間が外れてしまっています。こういうケースは手術が必要になります。