検査と診断

1.聴力検査

  聞こえの検査での聴力障害の特徴(高いもしくは低い音ほど聞こえにくい、真ん中くらいの音が聞こえにくいなど)によりいくつかのタイプにわけられます。

1 低音障害型   低い音が聞こえが悪いタイプ  ただしこのタイプは低音障害型感音性難聴、メニエール病といった似ていても、原因が違う病気との見分けが必要です

2 高音漸傾型    高い音になるほどだんだん聞こえにくくなるタイプ

3 高音急墜型    高い音で急に聞こえが落ちるタイプ

4 水平型    全周波数で聞こえが悪い

5 山型  真ん中くらいの音が聞こえにくいタイプ

6 谷型  真ん中くらいの音は聞こえるが高い音と低い音ん聞こえが悪い

7 聾型 すべての高さの音が殆ど聞こえない

 

   タイプにより治療の成績が異なります。

 最もいいのは低音障害型ですが、これは本来の突発性難聴以外の病気(急性低音障害型難聴:自然軽快するなど治りやすい難聴)が含まれるケースがありますので、単純に比較はできません。低音障害型難聴についてはまた別にまとめたいと思います。

 

2.ABR(聴性脳幹反応)

 聴力検査では音が聞こえていても、ボタンを押して反応を示さなければ悪いデータになります。自分の意思と無関係に、音に対する脳の反応を調べる検査がABRです。これは若い方で時々見られる機能性(心因性難聴を診断するために行います。通常の聴力検査では聞こえていないのに、聴性脳幹反応では反応が出る場合はこれに当たります。これと同じような他覚的検査にはDPAOE(耳音響放射検査)ASSR(聴性定常反応検査)があります。

 

3.アブミ骨筋反射

 ABRなどの脳波の検査を備えているところはそう多くはありませんから、簡易検査としてこの検査を行うこともあります。音を聞かせた時に、正常であれば鼓膜が反射的に動くことを利用した検査です。

 

4.レントゲン、MRI

 聴神経腫瘍という聞こえの神経(聴神経)に腫瘍(基本的に良性)ができ、これが原因で聴力が落ちる方がいます。通常のレントゲンで分かることもありますが、通常はMRIによりこれを見つけます。聴神経腫瘍の場合、症状としてはめまいが一緒に起こることもよくあります。(特に難治性の)突発性難聴の場合、念のためMRI検査をおすすめしています。

 
突発性難聴 MRI
(右)聴神経腫瘍