耳鳴りを原因別に分けると大体以下のようになると思います。
1.お耳の病気が原因の場合
急性中耳炎のように炎症が内耳に広がり内耳炎を起こしたり、突発性難聴、メニエール病などの内耳の病気のあと、後遺症として耳鳴りが残ることがあります。内耳の有毛細胞のダメージによって怒ると考えられています。その他にも鼓膜の緊張を保っている小さい筋肉の痙攣などが原因でおこる耳鳴りもあります。
2.ケガや事故で起こった場合
大きな音を耳元で聴いてしまった音響外傷や、耳のお掃除の最中に鼓膜をついて穴を開けてしまったなどの外傷性鼓膜穿孔の後遺症として残ることもあります
3.お耳以外に原因がある場合
耳以外に原因がある場合もあります。代表的なものは以下の様なものです
1.高血圧
耳の中の血管を通る血液の流れを雑音として感じることがあります
2.高脂血症
高脂血症が進み、動脈硬化が進むと高血圧の方と同様に血管の雑音が聞こえることがあります
3.甲状腺の病気
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎(橋本病)など)どちらでもおこることがあります。
4.脳や神経の病気
脳腫瘍や脳梗塞、脳出血、動脈瘤、まれですが動脈や静脈の奇形の症状や、治療後の後遺症でおこることがあります。聞こえの神経である聴神経にできる聴神経腫瘍、あるいは聴神経と一緒に走る顔面神経の腫瘍による圧迫などでも耳鳴りが症状として出てくることもあります。
5.糖尿病
すべての方ではありませんが、一部に耳鳴りを訴える方がおられます。
6、心臓や、血管の病気
頚から脳へ続く血管が動脈硬化で固くなると、内耳への血流が悪くなり、機能が低下します。あるいは血管を通る血液の雑音として感じることもあります。
心臓の病気では、心臓弁膜症のように血液の流れが乱れることが原因で音を感じるようになったり、不整脈でおこることもあります。いずれも血液の流れが乱れることで、耳の奥の血管の中の雑音として感じます。
病気とは少し違いますが、心臓弁膜症の手術で、機械弁をつけたかたが、術後にカチカチするような音を耳鳴りとして自覚することがあります。
7.精神的な問題
うつ病を始めとして精神的にダウンしている場合、耳鳴りが症状として現れます。うつ病以外にもストレスや睡眠不足が続いたりすると耳鳴りを急に感じだすことがあります。この場合は多くは、下の生理的な耳鳴りを体調の変化によって強く感じるようになることが原因と思われます。その他、更年期などの精神的に不安定になりやすいときにもよくみられます。
4.病気ではない耳鳴り(生理的耳鳴、加齢による耳鳴)
本当に静かなところでじっとしていると「きーん」とか「じー」とか聞こえることがあります。これは鼓膜の緊張によっておこるとも言われており、病気ではありません。もちろん治療の必要はありません。 何かの発表会の前など緊張すると、心臓の音がドクンドクン聞こえることもありますね。これも一過性の血圧上昇に伴う、血管の雑音ですから心配いりません。
それともうひとつ、人間ですからどうしても老いの問題も出てきます。45歳前後から人間は耳の働きが弱くなってくるとも言われます。聞こえがだんだん悪くなるとともに耳鳴りが出てくることもあります。しかし、こうした耳鳴りも耳鼻科医としては治療を行う対象になります。
診察を受けられる前に、耳鳴りの症状について、こんなことを考えていただけるとスムーズに症状が伝わると思います。
1耳鳴りの聞こえる側 左右はっきりせず頭のなかに響くように聞こえる場合もあります。
2.耳鳴りが始まった時期(~前、~ヶ月前、あるいは~日前)
3.耳鳴りの音の種類 (セミがなく声 が~ じ~ ブーンなど)
4.音の高さ 高い音か低い音か
5.音の種類 1種類とはかぎりません。2つ以上の音が聞こえる方もおられます。
6.音のリズムの有無 もしリズムがあるような音であれば、ご自分の脈拍のスピードと比べてみてください。
7.耳鳴りの聞こえる時間帯、場所 寝る前が多い、静かなところで あるいはいつも聞こえるなど
8.耳鳴り以外の症状の有無(聞こえが悪い、耳がふさがった感じがする、めまいなど)があるか
だいたいこんなところが耳鼻咽喉科医がお尋ねしたいことではないかと思います。病院にかかられる前にまとめておいていただけるといいかと思います。