星状神経節ブロックや高気圧酸素療法は、突発性難聴の治療でも行われますが、内耳への血液のめぐりを増やすことと、血液に溶け込む酸素を増加させ、ダメージを受けた内耳の回復を図る治療です。
個人的な経験ではいずれの治療も、長く経過している陳旧性の耳鳴には効果が弱いように思います。
遠赤外線を用いた治療器(スーパーライザー)も星状神経節ブロックと同じ理屈で効果を示します。
昔からよく行われている治療です。お鼻の奥の、耳への連絡口から中耳に向かって空気を送り込む治療です。
本来は、中耳炎などの耳の病気に対して効果がありますが、通気そのものにマッサージ効果があるのか、あるいは心理的な効果も含めて、耳鳴に対して効果が見られることもあります。
病院で行う主な治療と異なった流れをもつ治療法を代替(補完)治療と呼びます。代表的なものとして、蜂の子などのサプリメントが挙げられます。
また鍼治療も(東洋医学の中に入るともいえますが)受けられる方が多いようです。
施設によっては鼓膜マッサージ器という器械を使うところもあります。これも通気と同じでもともと中耳炎の治療に用いられています。耳鳴りに対してどういう作用でどの程度効果があるのかはっきりしませんが、耳管通気と同じようにある一定の患者さんに効果を認めます。
古くから行われている治療にマスカー療法があります。これは耳鳴りに似た大きな雑音(多くはホワイトノイズやバンドノイズなどのノイズ音)を数時間聞いていただく治療です。耳鳴りを雑音により遮断し、耳鳴りを気にしなくするだけでなく、使用後に耳鳴りが小さくなっているケースも見られます。箱型補聴器に似たマスカー治療器がありましたが、現在は製造が中止され入手が困難になっています。またこの雑音を聞くという治療も後述のTRT療法へと発展し、現在はいわゆるマスカー療法は行われなくなりつつあります。
↑ホワイトノイズというのはこんな音です。
現在主流なのはTRT療法です。TRTとはtinnitus retraining therapyの略語で訳すると「耳鳴再訓練療法」といいましょうか。心理療法とはいっても、前述の理学療法と表裏一体の関係の治療になります。
マスカー療法で用いた治療器に似た、補聴器型の治療器(サウンドジェネレーター、TCI(Tinnitus Control Instruments ))と、心理学的カウンセリングを一緒に行う治療です。
マスカー療法との違いは、耳鳴りを隠すような大きな音を聞くのではなく、耳鳴りが気にならなくなる程度の小さい音を聞くこと、また聞く音もノイズ音以外に、オルゴールやお寺の鐘の音のような環境音に近い音を出す機械もあることです。
TCIは5−6万円前後程度で、補聴器とサウンドジェネレーターが一緒になったものもあります。しかし原理上は、治療に必ずしも専用の機器を使う必要はありません。