15年ほど前からお鼻の粘膜へのレーザー治療(下甲介焼灼(しょうしゃく)術)が話題を呼ぶようになりました。この治療は、レーザー(CO2レーザー)でアレルギー反応を起こしやすい下甲介という鼻内の側面の粘膜を焼灼する治療です。レーザーの他にも、アルゴンプラズマコアグレーターなどの機械を用いる方法や、トリクロリールを使った化学的焼灼もされています。
粘膜表面の細胞の変化が起こることで、アレルギーの原因物質が内部に入りにくくなり、粘膜下でのアレルギー反応が起こりにくくなります。また粘膜が収縮するので鼻通りが良くなります。
CO2レーザーによる治療ビデオです
アルゴンプラズマコアグレーターによる治療ビデオです
ただレーザー治療には注意すべきところもあります。
1. 治療自体は出血や痛みも少なく優れた治療ですが、処置後粘膜の表面にかさぶたがつきやすく、また分泌物も増え一時的に鼻づまりがひどくなります。しばらく処置が必要です。
2. 1回の治療で効果が現れるとは限りません。私の経験でも、間を空けて2回程度受けられる方もしばしばおられます。
3. またうまく効果が出た場合も長期間持続するとは限りません。1年から1年半でまた症状が戻ってしまう方もおられます。
4. 花粉症に対して行う場合は、季節前に行うほうが望ましいと思います。初めてであれば前の年の11月から12月までにされておいたほうがいいかと思います。
5. 下甲介の骨が太い方(肥厚性鼻炎)は、粘膜を収縮させても鼻づまりの改善が弱いこともあります。もっともアレルギーの反応が起こりにくくなるという点からは鼻づまりの改善も期待できます。
6. 処置費用がかかります。3割負担の方で(処置料のみで)両側で8700円程度かかります。同じような治療でアルゴンプラズマコアグレーターや高周波メスを用いた粘膜焼灼(しょうしゃく)術、あるいはトリクロリール酢酸による化学的焼灼術がありますが、これらは両側で5400円程度です。